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2011.05.04 *Wed*

続きにAEのあれ

日向VSとかであれこれ書いてたAEネタの単なる続き。SSです。支部にも上げたやつですが~

ちょっと本格的に体調が良くないのであちこちお休みするかもしれません。まだわかんないんですけども。
GWの忙しさで悪化したとこもあるんですが、休養とっても痛みが飛ばなかったりしんどい感じが続いてて。
出来れば調子よくなってほしいんだけどなぁ。ぬーん…´ω`





(………生きてる、)

ぼんやりと浮上した自意識の中で、自分の置かれている状況をゆるゆると思い起こす。手を伸ばし仰いだ先には無機質な白色の天井、大して寝心地が良い訳でもない最低限の機能を備えただけのベッド。

知っている、ここは保健室だ。この世界に来て、神への反逆という名のもとに活動を続ける一団の仲間に入って、一番最初「あの人」に頭を一突きにされ僕は一度死んだ。次に目が覚めた時はこの部屋だった。そうしてやっとこの世界の仕組みを一つ学んだ。やり方がまどろっこしいですねと問えば「あの人」はじっと黙っていた。

「…目が覚めたのか」

視界の外側から聞こえてきた低い声に心臓が飛び出さんばかりの勢いで跳ね上がった。つい今しがたまで考えていた「あの人」の声だった。頭を横に動かすがベッドの周りは朱色のカーテンで囲まれており姿までは確認出来なかった。椅子の金具が音を立てた様な気配がしたので、多分保健室のデスクチェアにでも座ってまってたんだろう。…誰を?いつから?どうして?

「…会長、あの、」
「別に待ってた訳じゃない」
「で…ですよね…」

僕の思考を先読みした様に間髪入れずぶっきらぼうな返事が飛んできた。良かった、いつもの会長の声だ、と安堵の息を吐いた自分自身にふと我に返って、意識が落ちる前の事をようやっと思い出した。誰かも知らない他人を庇って―――撃たれた。いや、知らない人間だと一概に振り分けてしまうのは少し違っているかもしれない。僕は生徒会室で何度もその顔を見ている。その顔を見詰めて、寂しげな色を瞳に燈す会長も見ている。

「…どうしてあんな真似をした」
「えっ…」
「腹。撃たせただろ、故意に。トリガーに指は掛けてなかった、俺は」
「…あー…」

そうだった、確かにあの瞬間。会長はトリガーを引けなかった。安全装置は外されていたけれど、結局あの黒い翼の天使を撃てなかった。だから僕が自分で、自分の腹に銃口を押し当てて、トリガーを引いた。何故かって聞かれたら自分でもよくわからない。だけどあの時の会長は明らかに冷静じゃなくて、取り乱していて、何をするか解らない、そんな気がして。

「あ…あはは、なんで、ですかね…僕にもよく解ら無くて」
「………。」
「…ただ、会長に無事で居て、ほしかったんじゃないかなって―――」

そこまで言いかけて、唐突に朱色のカーテンが勢いよく引かれた。驚いてそちらを見たら、無表情の天使がそこに立っていた。陽射しが半分顔に当たって陰影がかった端正な顔立ちも綺麗だよなぁ、なんて、こんな時まで。

「…自惚れるなよ」
「えっ―――」

まだ腹が痛んで起き上がれない僕の体の上に会長は突然馬乗りで覆い被さって来た。身構える隙もなく両腕が僕の首に伸びて、細く長い指先が動脈に絡み付いた。

「…ッ、か…会長…っ…」
「……自分が撃たれたら。『取り乱してた俺が、正気に戻って、冷静な判断をして、くれるんじゃないか』って?」
「…っ!」
「大事な人なんでしょう、って、そう言ったな赤目。そうだとしたら何だ、俺があいつを撃っていたら、何だっていうんだ」

お前に、俺とあいつの何が解る―――、僕の首を緩い力で確実に締め上げながら、そう呟いて見下ろす会長の顔はどこか辛そうで、眉間の皺をぎゅっときつく寄せていた。
撃つだの撃たれるだの殺されるだの。死なない世界で、そんな行為は只のポージングでしかないというのに。それでも僕が、あの人を庇った理由は―――

「…っ…でも、会長、現に、だから…あなたは…」
「………、」
「今、僕が貴方と、こうして一緒に、居られるのは…きっと、あのあと、僕を連れて…逃げてくれたから、なんでしょう…?」
「…っ、」
「ごめん、なさい…っ会長、確かにこれは…僕の、自惚れでも、あるけど―――…」

あれ以上、苦しそうな貴方を見ていられなかった、なんてそんなのは多分、限りなく本意に近い建前の話。今となってはただ、あなだが僕を助けてくれた―――即ちあの場で咄嗟に貴方は、僕を選んでくれた、かの、様に。
そんな身勝手な解釈をしている。きっと見抜いてるんだろう、聡明な会長の事だから。だからこうして貴方は僕に腹を立ててる。自惚れるなと。勘違いするなと。ちゃんと知っている、貴方が優しい人なだけなのだと。

「知ってます…ちゃんと。だから、言ったじゃ、ないですか…貴方が一番、大切な人は―――あの人、だって」


―――ゆっくりと、僕の首に巻き付いていた会長の指が剥がされた。せき止められていた血流と呼吸が一気に流れて僕は激しくむせこんだ。首は解放されたが馬乗りの会長がそこから降りる気配はなく、咳込む僕の顔を変わらずじっと見下ろしていた。

「…前にお前、言ったな。まどろっこしいやり方だって」
「げほっ…え、っと…あぁ、最初の…」
「この世界のシステムを知って、神への反逆を志した奴らが、過去にも居た。」
「…はい、」
「…死なない事が、解っていたら。傷付く行為自体を、きっと今の彼らも恐れない。体が動かなくなろうが、四肢がバラバラになろうが、我が身を省みなくなる」
「……会長、」
「…例え、擬似でも…そんな事、俺は善しと、思えないんだ…なぁ、赤目」

―――こんな俺は、天使兼生徒会長、失格かもな。弱々しく呟いて、ふいと顔を逸らし会長は漸くベッドを降りた。咄嗟にかける言葉が出なくてどもったけれど、逸らされる直前の貴方の顔は何だか今にも泣き出しそうに見えた。

「――…会長!あのっ…」
「……」
「貴方が言う、天使とか生徒会長とか、それがどういう偶像なのか、僕には、解らない…です、けど…」
「…、」
「貴方は、僕にとって…今でも尊敬すべき、会長、ですから…っ」

だからそんな顔をしないでくださいと言えば、また怒られそうだったから潔く喋るのを止めた。少しして「…病み上がりに邪魔した」と上辺だけの挨拶を告げて会長は保健室を出て行った。

―――体力が回復して、体を起こせるまでに至っても、首に絡んでいた指の感触と泣きそうな会長の顔だけは、暫く頭から離れなかった。


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